『たい焼きよりも本が好き』  .   .  読書メモ的ブログ
読書日記 装丁のきらめき サイン本 読んで感じたことなど
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桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』
家に和菓子がない時は、おもちゃ(消しゴム)の和菓子で我慢する。

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桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』 読み終わりました。
2012.4 (小学館)
装幀 book wall
装画 坂元ヒメミ

表紙の絵が気に入ったので購入しました。
やたらと帯がでかいですけど、帯を外すと見開きで一枚の絵が楽しめます。
サクラ色がとてもきれいです。
表題作「起終点駅 ターミナル」を読み終わったあとに、もう一度この絵を見て欲しい。
驚きにも似た複雑な気持ち、初めて見た時とはまた一味違った感慨が押し寄せてくることでしょう。
いい絵です。

この作品には6つの短篇が収録されています。

「かたちのないもの」 「海鳥の行方」 「起終点駅」 「スクラップ・ロード」
「たたかいにやぶれて咲けよ」 「潮風の家」

「孤独」をテーマにした短篇はどれも素晴らしく、短篇なのに長篇を思わせる内容の濃さに圧倒されました。物語がどれだけ心に突き刺さるかは読み手次第だと思いますが、人生の経験値(あるとすれば)が増えれば増えるほど、歳を重ねれば重ねるほど、心に深く突き刺さる物語だと思いました。
今回は「スクラップ・ロード」と「潮風の家」がズドンと響いて刺さりましたが、何年か後に再読すると、今回とはまた違う作品がズドンと響いてくるはずです。そんな気がしてなりません。
淡々とした筆致、それでいて読み味にコクと深みを感じさせるのが桜木さんの凄さでしょう。堀江敏幸さんの短篇を初めて読んだ時の衝撃、それに近いものを感じました。
ほとんどの話が北海道を舞台にしているので、地名や方言などが適度に楽しめるのもポイント高い。
なんとなく北海道っぽい雰囲気を味わえる、そんな描写の散りばめ具合が素晴らしい。

桜木紫乃さん、今日からファンです。装丁がイマイチ好みじゃなかったので買わなかった「ラヴレス」も、買ってしまいそうな勢いです。



人はそれぞれ孤独を抱えながら生きている。
孤独を受け入れ強く生きる姿は、時に凛として美しい。
美しい孤独もあるのだな、と。



読後の余韻にひたりながら、孤独の美しさについて考えるのもまた一興。
(最後に)
ラストに収録されている「潮風の家」は、何年か後に再読するのが楽しみな作品です。
震えるほどの傑作なので、皆さんも読んで震えましょう。
予想ですが、10人に1人は震えるのではないかと思います。
この傑作を読まずして・・・なんだっけ。
忘れた。






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越智月子 『モンスターU子の嘘』
求肥が好きなんです。モチみたいに柔らかい求肥が、狂おしいほど好きなんです。
なので、雪見大福は求肥の部分しか食べません・・・・・・・・・はい、嘘ですよ。ちゃんとアイスも食べますよ。八つ橋や若鮎といった和菓子はもちろんのこと、最近はケーキなんかにも使われることが多い求肥。
いいぞ求肥。新進気鋭だぞ、求肥。これからもよろしくね、求肥。されど求肥。(意味不明)
写真手前、白と緑のケーキは抹茶風味の求肥です。甘ったるいのが苦手なので、求肥だけ食べました。
奥のケーキはモンブラン。モンブランの求肥って激レア!と思って買ったんですけど、求肥ではなく普通のモンブランクリームでした。ちっ、求肥に見えたんだけどな。 まだまだ甘いね、俺も。
甘ったるいのが苦手なので、このモンブランケーキは食べ・・・・・・自粛、これ以上言えないっ!

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越智月子 『モンスターU子の嘘』(小学館) 読み終わりました。

表紙にはムスッとした表情の女の人。気だるそうなんだけど、なぜか目だけは力強い。これはU子でしょう。
どこか銀座のママっぽいですね(見たことないけど)
装画は、えすとえむさんです。

モンスターU子とは一体何者なのか。謎めいた過去、破天荒な生活、服役、徐々に浮かび上がるU子の像が凄まじい。何を書いてもネタばれになりそうなのであまり書きませんが、むちゃくちゃ面白い作品でした。
今はただ、極上のエンタメが読めたことに満足するばかり。越智さんエンタメうまい!

越智月子さん、次回作も期待しています。





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古川日出男 『gift』
魔法の粉、ホットケーキミックスを使ってホットケーキを作ってみました。
下の写真が完成品。分厚いだけがとりえのホットケーキです。

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古川日出男 『gift』 (集英社) 2004・10
 
久しぶりに古川さんの作品を読みました。『ハル、ハル、ハル』以来なので、ずいぶん間が空いてしまったようです。古川さんの文体に対する苦手意識を克服しようと思って今回この薄めの本をチョイスしたわけですが、どうやら正解だったようです。
この作品は、19もの掌編が収められた掌編集です。(掌編とは短編よりも短い小説のこと)読んで字のごとく、手のひらサイズのショートストーリーと言えば解りやすいかな。(掌編は「しょうへん」と読みます。)
著者である古川さんが最近見た夢に、少しひねりを入れたような妄想たくましいストーリーの数々。苦手だと思い込んでいた文体も、掌編だと妙にマッチしていて気にならない。いや、気にならないと言うより、結構好きかもこの文体。すべての掌編に含まれている軽めの不思議成分がよいアクセントになっていて、いくら読んでも飽きがこない。ひとつの掌編を読み終えた時、またすぐに次の掌編が欲しくなるから面白い。
もう少し続きがあってもいいのにな、このキャラならもう少し話を膨らませても面白いんじゃないかな、と思う作品でも、気持ちいいほどにズバンと話は終わります。良くも悪くもそれが掌編。はっきり言って、この短さはクセになる。
ああ、もっと掌編が読みたい。これがこの作品を読み終わった時の素直な気持ちです。

読み手に物足りなさを感じさせる掌編こそが素晴らしい。

この場合の物足りなさとは、内容の薄さからくるものではなく、内容の濃さからくるものを指します。




いきなりですが、ここで魔法の粉(ホットケーキミックス)を使ったレシピを書いてみる。

『分厚いだけのホットケーキ』
材料
ホットケーキミックス一袋(200グラム)
たまご  一個
牛乳   計量カップがないので適当。一応、目分量で200ccを狙いましたけど何か。 

これらを箸でグルグルとかき混ぜる。泡立て器?そんなの持ってるわけないじゃん!
ここで注意したいのは、かき混ぜすぎないこと。ねっとりとした状態に留めること。
泡立て器も持ってないのに一丁前の口を利く俺(笑)
袋の裏側に記載されている説明によると、これで4枚のホットケーキが作れてしまうようです。
4枚?俺に4枚のホットケーキは必要ない。4枚に分けてチマチマ焼くのも悪くないけど、それは可愛らしい女子のすることであって(偏見すみません)俺の目指すホットケーキは分厚さが命。
なので、ぜんぶ一気にフライパンへと流し込む。ためらいは一切無い。なぜなら、ホットケーキミックスを使うの、今回が初めてだから(爆)これぞ無知なる流し込み。(あとで少しだけ後悔しました)
今回はIHプレートと卵焼き用のフライパンを使用。表面にプクプクと泡が出てくるのを待つこと10分、みるみる膨れあがるホットケーキに驚きを隠せない。これって、どんだけ膨らむの?

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こんな感じで膨れあがりました。いいぞ!目標の厚さ三センチを軽くオーバーしているのに気を良くし、「ホットケーキって意外と簡単じゃん。俺の得意料理にしてしまえ」なんて思ったのもつかの間、肝心の泡がなかなか表面に出てこないので不安になる。さらに待つこと10分、やっと表面に泡が出てきてホッとする。ふぅ、20分も表面とにらめっこした甲斐があったよ。
ここで裏返してと・・・げげっ、裏側がガチガチに焦げてるよ。
プッ、あまりに見事な焦げっぷりにウケた。
どっちがフライパンなのか分からないくらいに焦げた裏側は、まるで鉄板のようでした。
やはり20分は焼き過ぎだったか・・・。ホットケーキ、奥が深いかも。
両面を焦がすのは嫌なので、裏返してからは三分で焼きを終了させました。
両面焼くとホットケーキはしぼむんだね。ピーク時は4センチオーバーだった厚さも最終的には3センチくらいになってしまいました。ま、3センチでも厚いけどさ。憧れのホットケーキには程遠い。

(実食後の感想)
味はそれなりでしたけど、見た目よりもふわふわしていて蒸しパンみたいな食感でした。
ガチガチに焦げてしまった下のほうなんですが、クッキーみたいでおいしそうに見えたので一口だけ食べてみました。なんか、あとでおなかが痛くなりそうな味がしたので一口食べてやめました。

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次は厚さよりも、味にこだわってみようと思う。 





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久保俊治 『羆撃ち』
久保俊治 『羆撃ち』 (小学館文庫) 読み終わりました。 

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タイトルは羆撃ち。羆(ひぐま)撃ちと書いて、くまうちと読むようです。

装画は松尾たい子さん。松尾さんのカバーイラストは、河出書房新社の奇想コレクションで馴染みが深い。
この文庫のイラストをパッと見た瞬間、「あ、松尾さんの絵かも」って思いましたもん。
黒い大地に炎がゆらめき、その傍らには白い犬がおとなしく座っている。この素晴らしい炎の配色が松尾さんクオリティ。誰にも真似できない独特な配色が松尾作品の魅力。
解説が平松洋子さんだったので、ほぼ即決で購入しました。

人は狩猟だけで生活することが出来るのだろうか。その問いに対する答えはイエス。この本の著者である久保俊治さんは、実際に山ごもりをしながら狩猟だけで生計を立てることに成功した経験の持ち主。本物の羆ハンターなのです。久保さんは羆ハンターとして生きてきた過去を振り返り、歴史を見つめ直しながらこの作品を書いたのではないでしょうか。狩猟だけで生活することへの覚悟、羆との戦い、狩猟犬フチとの生活、アメリカはモンタナ州への武者修行など、実際に自らが経験したことを余すところなく丹念に描き出し、圧倒的なリアルへと繋げていく。読み手はたちまち森の中へと引きずり込まれ、大自然の雰囲気を感じ取る。これぞ傑作ノンフィクション、と、思わず声を上げてしまうほどの素晴らしい作品でした。

とにかく印象に残るエピソードが多い作品なので、その中でも特に印象深かったエピソードをいくつか挙げてみます。
(狩猟犬フチ)
表紙にも描かれている白い犬、これが名犬フチです。優れた狩猟犬には、一生涯のうちに一度めぐり会えるかどうかと昔から言われているようですが、久保さんは見事にめぐり会えました。賢くて勇敢なフチとすごした日々は、久保さんにとってかけがえのない宝物のようなものなのでしょう。犬があまり得意ではない私が読んでもグッとくるあのシーン、これは犬好きの人が読むとかなりグッとくるのではないでしょうか。

(山ごもり疑似体験)
物語を読んでいるうちに、あたかも自分が山ごもりをしているような感覚に陥ってしまうから面白い。久保さんの文章から立ち上がる森の音、森の匂い、森の空気、それら全てを読み手が感じた時、疑似体験にも似た山ごもり感覚を味わえる。久保さん、文章うますぎる。

(自然描写)
左右に掻き分けた雪が、積み重ねた針が崩れるような音を立てる。(P102)
雪が結晶のまま降り落ち、結晶同士がぶつかり、こすれあう音がチリチリと鳴る。(P173)
このふたつの文章を読んだ時、ふと子供の頃の記憶が甦りました。
北海道に住んでいた小学生の自分。誰も足を踏み入れていない空き地に30センチ程の雪が降り積もる。そこが格好の遊び場だった。雪の海へと飛び込んで、大の字になって寝っころがりながら見た空は白かった。その時に聞いた音が鮮明に甦ってきたのです。久保さん、しつこいようですけど、文章うますぎです。

(狩猟、その行為の是非)
狩猟とは何かを考える。人間はなぜ他者の命を奪わなければ生きていけないのだろうか。
人間の営み、その本質を問う大命題。これに関しては、解説で平松洋子さんが素晴らしいことを書いている。
平松さん、解説うま過ぎです。

素晴らしいノンフィクション作品が読めて満足。
久保さん、ありがとうございました。

煙が空に消えるがごとく、すべての音が遠のいていく。深い静寂。
息を殺してライフルをかまえ、羆と対峙する。
ライフルスコープで羆を捉えているのは、あなたかもしれない。

なんてね。





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ロバート・ニュートン・ペック 『豚の死なない日』
白水Uブックスの赤。勝手にそう呼ばせてもらってます。白赤とも呼びます。
手に持った時のおさまりのよさ、ちょっとした時間を利用して読める薄さ、なにより面白そうな海外小説を次々と紹介してくれるのがUブックスの赤。
今回手に取った一冊はこれだ。
ロバート・ニュートン・ペック 『豚の死なない日』

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そそらないタイトルですけど、すごくいい作品でした。
Uブックスの赤じゃなかったら読まずにスルーしてたと思います。あぶないあぶない。

子はやがて大人となり、父のあの日の姿を思い出す。
そして、大人としてやらなければならないことを教えてくれた父に感謝する。
父と子の物語はストライクゾーンなので、この作品もストライク。
カバーの装画もばっちりだし、そそらなかったタイトルも読み終わった後には「なるほどね」って思う。
素晴らしい作品をありがとう。

この小説を読みながら思い出した映画
「リバー・ランズ・スルー・イット」「リトル・ダンサー」「ツリー・オブ・ライフ」

この小説を読んだ後に観ないほうがいい映画
「ベイブ」





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プロフィール

Author:つゆき
訪問ありがとうございます。
たい焼きよりも本が好きな会社員。
読み終わった本についてのあれこれを自由気ままにメモ感覚でアップします。本とはまったく関係ない話もたまにアップします。
サイン本が大好物なので、たまに自慢してしまいますけど、そこは温かい目でひとつ華麗にスルーしてください。

コメントは「ほぼ承認制」ですので、気軽にコメントして下さい。
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